《最終回》

〜起業当時の振り返りと今後〜

起業して1年経が過したので、起業まもない時期を振り返ってみたいと思います。 昨年、9月に鳥取へ移住し、江府町で起業するために、まずは焙煎所の場所を探しました。しかし、なかなか見つかりませんでした。

そのために江府町役場の助けをお借りするべく、役場とのやりとりを頻繁に行い、その度に起業準備室のあるNPO法人こうふのたよりと役場の間を行き来しました。 その中間に江尾神社と東祥寺があります。

江尾神社

ちょうど秋の季節のため、江尾神社では銀杏が黄色く色づき、フカフカした黄色の絨毯の上を歩きながら神社の前で手を合わせ「人様のお役に立てるよう全身全霊を投入して参ります」という宣誓を幾度となくいたしました。 神仏の前で宣誓し、ひたすら前に進む気概に満ちた毎日でした。


東祥寺

一方、東祥寺は禅寺らしく、山門に「不許葷酒入山門」と刻まれた戒壇石が立ち、山門をくぐると隅々まで心の行き届いた端正なお庭が広がります。 このお庭を拝見させていただき、ご住職の禅者としての大力量の一端を覗かせていただきました。起業準備中に東祥寺さんにお参りする時間は、自分にとって事業への挑戦とその誓いを立てる場であり、気持ちを新たにする時間でした。お参りの後はいつも清々しい気持ちにさせて戴きました。


江府町東祥寺

今、江府町ではサイクリングロードの整備が進められているので、巡るコースに東祥寺さんが立ち寄りポイントに加われば多くの方にこのお寺を知っていただき、訪れる方が増えることで、SDGsにつながるのではないかと思っております。 一方、私自身は焙煎所が旧米沢小学校に決まった事や江府町役場が移転した事が重なり、今は足を向ける機会が無くなってしまいました。


このお寺で座ってみたいと思いながら実現できないまま一年が過ぎてしまったのは誠に残念です。 仕事の話に戻します。昨年12月末に「奥大山の水洗い珈琲豆」を発売することができました。できるだけ多くの方にこの珈琲を知っていただこうと、試飲会やコーヒーの淹れ方教室を各所で実施してきました。

お客様と直接会話をすることにより、お客様がコーヒーとどう関わっているか、生の声を聞くことによってニーズや嗜好を知る機会になるからです。 起業時点では自分のアイデアや市場調査結果を基に商品設計しましたが、起業後はお客様の声を集めた生の情報を用いて商品開発をして参りました。 その結果、新商品「スペシャルブレンド ブナの森」の発売につながりました。

スペシャルブレンド ブナの森

商品開発は開発室のみで作るものではなく、顧客の中に入り込み、多くのご意見や潜在ニーズを掘り起こして作るものだとつくづく思いました。 今までも何回となく述べさせていただいた通り、鳥取へ移住、起業して今があるのはNPO法人こうふのたよりのご支援をいただいたからです。中でも、NPO法人こうふのたより創立者のひとり、末次多衣子さんは、常に移住者の私に寄り添い支援してくださいました。


起業準備室として、こうふのたよりの事務所を快くお貸しいただき、さらにこの土地ならではの習慣や人間関係など、大切な事は全てご指南いただき、仕事を前進させる上で大きなお力添えをいただきました。移住者ファーストで献身的に接してくださるブレない姿勢のスタッフの皆さんにこの場をお借りして心より御礼申し上げます。最後に今後の想いを一言だけ述べさせていただきます。「挑戦を続けます」ありがとうございました。(最終回)



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