《第8回》

〜起業準備室を「こうふのたより」内に設ける〜

大阪から鳥取へ移住した先は琴浦町赤碕です。当初、江府町に住まいを見つけようとしておりましたが、妻の両親が所有している空き家が赤崎にあり、両親は、私がどこかで家を借りるのではなく、この空き家に住んだら家が傷みにくいので、ここに住んで欲しいと言われました。

そこで、自分としても家賃が浮くので赤碕の空き家を住まい及び起業準備室とすることにしました。 起業準備にはインターネットが必須のため、先ずはNTTに光回線の申し込みをしました。すると、なんと3か月待ちとの事。これはコロナ禍により。自宅でリモートワークが増えたことで、回線工事が急増しているからというもの。 回線開通まで3ケ月も待つ事など絶対に受け入れられず、大きな危機感を覚えました。

こうふのたより事務所

そこで、「こうふのたより」の事務所をお借りできないだろうかと考えました。 事務所には机が4つあり、使用しているのは3つ。空いている1つをお借り出来れば、インターネットやコピー機などが使用でき、その日から仕事が開始できることになります。そこで、「こうふのたより」の末次多衣子さんに恐る恐る相談したところ、快く事務所をお借しいただけることになりました。


末次多衣子さん

末次さんがおっしゃるには「せっかく江府町で起業するのであれば、その準備期間も含めて応援するのは当然の事」とのお返事。 流石「こうふのたより」を立ち上げただけある強い意志と人様のために役立ちたいというブレない精神に改めて頭が下がりました。なぜすんなりお貸しいただけたのか、後からお聞きしたところ、ご自身の人生の中で、大きな節目となるような体験をしたことがきっかけで人生観が変わったからとのお返事。


末次多衣子さん

やはり人生経験の豊かな方は違うと思うと同時に、自分もこういう広い心根のもった人間にならねばと思いました。そして、いつか必ずご恩をお返ししようと思うのでした。そのような経緯があり、お言葉に甘えてこの事務所に居候しながら起業準備室を立ち上げることが出来ました。


ここのいいところは、多くの人の出入りがある事です。人の出入りがあるということは、そこへ情報が集まるということです。しかし、情報が勝手に入ってくる筈はありません。情報は発信しているところに集まるものであり、情報をもらうだけのところへは決して情報は集まりません。

こうふのたより入口

つまり「こうふのたより」が日ごろから各方面へ情報発信している証だと思っております。これ一つとりあげても「こうふのたより」は随分とご苦労を重ねながらも粛々と自分たちの信じる道を進んで来た、いや切り開いてきたのだと思いました。 それは私が、皆さんと同じフロアにいるからこそ分かることです。身近に末次さんがいることは、大いに励みとなり、自分も「よしやろう」と奮い立つのでした。


上野事務局長

お陰様でここに居ながら各方面の方を知ることも出来ました。日本海新聞、米子?島屋、中海テレビ放送、山陰放送等など。また、多くの会社経営者の方々にもお会いすることが出来ました。これは日ごろからアンテナを張っている上野事務局長のご努力の結果だと思っております。皆さんの日頃の活動が、この先、私の仕事の広がりにつながってゆくのでした。


明るくてフレンドリーな藤原局長

明るくてフレンドリーな藤原局長


冷静でダンディーな薮木出張所長

冷静でダンディーな薮木出張所長


何でも相談できて頼れる梅田事務長

何でも相談できて頼れる梅田事務長


またここは地の利もあります。江府町役場(旧役場)まで歩いて4分、郵便局1分。山陰合同銀行0.6分、江府町商工会0分。特に江府町役場とは頻繁にやり取りがあるため、歩いてすぐに行く事が出来るのは重要なポイントです。わずかな事の打ち合わせでもすぐに行けるメリットは計り知れません。もし琴浦町に起業準備室を置いたとしたら効率が悪すぎます。

私の初仕事は、法人設立の手続きです。普通は司法書士に依頼するのが一般的ですが、これも自分でやりました。商標登録するときもそうでしたが、法人登記もインターネットで申請できるので、自ら挑戦してみました。大阪在住時に前号で記載した大阪産業創造館で現役の司法書士と対面で2回、メールでのアドバイスを3回させていただいた結果です。もちろんすべて無料です。会社の形態には株式会社や合同会社がありますが、次の5つの理由で合同会社にしました。

1.設立費用が安い 2.設立の手続きが簡単 3.決算を公表する義務がない4.利益の分配が自由 5.経営の自由度が高い。 定款の作り方、気をつけなければいけない点など、基本的な事はすべてここで学びました。

こう考えると、起業に関する各種情報は大阪在住時点で多くの事を学んでから移住したことになります。その結果、急ピッチで法人登記、法人銀行口座開設など、起業に必要な全ての準備を速やかに進めることができました。大阪産業創造館の活動に心より感謝しております。

国や地方でも起業をサポートする事に多くのエネルギーを投入し、そのサポート体制はしっかりしたものがあることを実体験した自分だから思うのですが、一人の人間の力は限られているので、公の組織が強力に後押しする体制やシステムは必須だと思います。

  

たとえ新しいアイデアや商品があったとしても、起業となると専門的な知識が必ず必要になるので、この部分を個人の努力や力に任せていては限界があると感じました。もっと、地方レベルでもこの部分にスポットをあてて、この地域で起業する人には専門家のサポートや資金補助の充実がもっとあれば、全国からいろいろなジャンルの起業家を呼び込むことが出来るようになると思います。今後、江府町のさらなる工夫次第で将来がさらに明るくなると思います

筒井真理

ここでもう一人、こうふのたよりのメンバーである筒井真理さんについても記しておかねばなりません。筒井さんはとても明るく、お優しい性格の方で、朝の挨拶も自分が事務所に戻った時も笑顔と明るい声で対応して下さいます。


筒井真理

同じ事務所の空間にいて、明るく前向きな方の存在がその場の雰囲気に良い影響を与えてくださいます。


筒井さんのおかげで随分と救われた場面がありました。ここに筒井さんにも謝意を申し上げさせていただきます。原稿を書くにあたり、筒井さんのお写真を撮らせていただこうとしたら、それだけは絶対ダメ!と頑なに固辞されました。なおもお願いすると、元々性格がお優しい方なので、どうしようかな〜と考えて下さっているご様子。

筒井真理

そして最後はいつものあの笑顔を見せてくださいました。しかしまだ続きがあります。


筒井真理

あれほど拒絶していた写真撮影ですが、最後の最後に、まさかのピースサインまで出てきた事には驚かされました。しかも両手。 ここでも明るく、お優しいお人柄をかいまみせていただけました。筒井さんのお二人のお子さんとお会いしたこともあります「この親にしてこの子あり」と思わせてくれる、とても伸び伸びとしたお子さん達でした。きっとこのお子さんたちが明日の江府町を明るくして下さるのだろうと思います。


仕事をする上で「明るく、元気」これが何よりも大切であることを筒井さんから学ばせていただきました。

遠藤さんガッツポーズ

自分が起業する場所は、奥大山は江府町でなければならなかったため、実際にこの地で起業できることになった事、そしてよき仲間達に恵まれた事に感謝するとともに「よしやるぞ」という覚悟を新たにするのでした(つづく)




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